第1部 N P O法人取得10周年記念式典と祝賀会の報告
倉光会長よりスライドを用いて臨場感たっぷりの報告をいただいた。まずは、全国の地域福祉の仲間やご来賓からのお祝いの紹介ののち、次の10年に向けての施設の新たな役割と抱負が語られた。
第2部 第23回全国地域福祉施設研修会東京大会の報告
小谷事務局長より2日間にわたって行われた研修会のエッセンスを報告いただいた。第22回大阪大会は、運営を若手中心にしながらも先輩方がサポートするという新たな取り組みを行った。第23回東京大会の運営も大阪大会が刺激となり、児童館スタッフを中心に施設長だけではなく、現場のスタッフの活躍により素晴らしい大会となったことを報告された。最後に、セツルメントに取り組む私たちの姿勢として「鳥がついばむからといって種を蒔くことをやめない」という学びが紹介された。
第3部 全体研修会テーマ「施設は地域で何ができるか」
学生セツルメントの歴史と実践
―地域や施設との関係に注目して―
「地域の中で施設は何ができるか」
日本福祉大学大学院博士課程・もと大阪府立大学学生セツラー 岡本周佳さん
まず、セツルメントの思想と歴史について語られた。そして学生セツルメントの歴史と実践に注目した報告を通して「地域と施設の関係性という現代的な課題」について考える機会をいただいた。
日本のセツルメントの分類の一つ「大学型」を、戦前の「大学セツルメント」と戦後の「学生セツルメント」に整理してその活動の報告がなされた。
はじめに、亀有みどり保育園の実践や東大セツルメントが行った震災救済をもとにした大学生による主体的、自主的実践の展開と創造について語られた。
次に、愛染園学生セツルメントの活動などを通し、住民の要求に応じて地域課題に向き合い、地域や住民とともにつくりあげた実践や、学生にとっても大学の学びと実社会との往還的学びにもなったというエンパワメントにもつながった側面も報告された。
学生セツルメントの運動と実践を学び、現在、制度による福祉を進める施設は、制度に安住してはいないだろうか。時代背景は違うけれども学生セツルメントの行った自由な(ニーズに応じた)福祉活動から学ぶ必要があるのではないだろうかという議論がなされた。
また、当時は単に地域のデータを収集するのではなく、生活者の目線に視座を置いて行う調査活動により必要なニーズを把握し制度、政策の補完的役割を担うなど非常にピュアなセツルメントの精神を見た気がした。
今、施設が地域や学生などと相互の信頼関係を築き、ともに自由な活動を可能とするあり方が求められているのではないだろうか。